収縮している馬の体勢は、後躯が沈下することで前躯が起揚して収縮体勢が形成されます。すなわち、後躯の屈橈(股関節ー後膝関節-飛節)を示し、後肢の踏み込みは浅いが高揚歩様を示し、空間期が長くなって運動をします。
この体勢を得るためにはトレーニングスケールの初めの5点(歩調・緊張の緩和・ハミ受け・推進力・真直性)の確立が前提条件となります。これが確立することによって透過性とバランスが良くなり、馬は歩幅を詰めた収縮運動が可能となります。
我々は、基本的に3歳から4歳ごろから馬を調教し始めます。
初めは調馬策をしたり、人を乗せて馬場を歩く初期調教をします。それからトレーニングスケールの6点を段階を踏んで本格的な調教に入っていきます。
その過程において、「第1課目」、「第2課目」、「第3課目」、「第4課目」というように段階を踏んで調教を進めていきます。
調教初期においては主に前傾姿勢で騎乗しますが、、経路を踏むとき馬は人を乗せて安定して経路を踏むことは難しいものです。初期調教を馬が理解してバランスよく動けるようになったら、次は角馬場で各種の図形運動をできるように馴らします。そして、馬の調教進度を見極めるために「第1課目」の経路を踏みます。それをクリアしたら、だんだん「第2課目」、「第3課目」へと段階を上げていきます。
たとえ「第1課目」の経路を踏む場合でも、馬はそれなりの収縮体勢(セルフキャリッジ)をとって運動をしなければ正確な経路を踏むことは難しいものです。その後、だんだん
「第2課目」へとレベルを上げていくごとにその収縮度は増し、最終的にグランプリクラスの極度の収縮体勢へと導かれていきます。
馬に収縮を求める時期というのは、馬に乗り始めてから約1年半ぐらい経ってからになります。若い馬はまだ十分発育しきっていないので、早期に収縮を求めると精神的、肉体的苦痛を与えかねません。馬の体力や精神面を考慮しながら調教を進めていくことが大切です。