◇騎手の姿勢◇
騎手の姿勢には基本的に3つの種類があります。
1.馬場姿勢(基本姿勢)
これは乗馬をするにあたり最も基本的な姿勢です。
(注目点)
- 肩-腰骨―踵が一垂直線上にある。
- 馬の口角-手綱-拳―肘までが一直線上にある。
- 騎手の肩と腰は馬の肩と腰に対して平行になる(回転時において)。
2.軽減姿勢(練習用・調教用姿勢)
障害を飛越する前の準備運動時や若馬の騎乗時などにおいて用いられる姿勢です。
その他、背の弱い馬や後退時などの時も用いられます。鐙の長さは馬場姿勢の時より2穴ぐらい短くします。
3.前傾姿勢(障害飛越姿勢)
この姿勢の目的は馬の背により多くの自由を与えると共に、障害飛越の時に騎手が素早く馬のバランスの変化に付いていきやすくし、主に障害飛越において用いられます。その他、クロスカントリーやスティープル・チェイス、さらには競馬姿勢などにおいても用いられます。鐙の長さは軽減姿勢時よりもさらに2穴~3穴ぐらい短くします。
*騎手の姿勢には下記の事柄が大切です。
1.外形姿勢
2.柔軟性
3.バランス
4.馬の動きへの随伴
これら4点はどの騎乗姿勢においても必要不可欠なものです。
姿勢は単に美しいだけではなく、正しい姿勢によってのみ馬に正確に扶助を与えることが出来、良く感覚(フィーリング)を理解することが出来ます。
◇騎手の扶助◇
騎手の扶助には3つの扶助があります。
すなわち 1.体重扶助 2.脚扶助 3.手綱扶助 です。
騎手は体重・脚・手綱扶助によって馬に指示を与えます。
体重扶助(体重の移動)は最も重要であり、且つ影響力のある目立たない扶助です。
騎手の脚による推進力は体重扶助の助けがなければ成り立たないことからしても大変重要な扶助であることがわかります。体重と脚による前方推進の扶助があって、手綱扶助があるという事をよく理解しましょう。
様々な扶助を調節することで馬の姿勢を正し、歩様の質を上げ、馬の従順性を高めることができます。扶助の強度は馬の敏感さ、調教の段階、そしてその目的によって決まります。
1.体重扶助
a.両側負重の体重扶助 両方の座骨に体重をかける
b.片側負重の体重扶助 片側の座骨に体重をかける
c.軽減の体重扶助 座骨にあまり体重をかけない
2.脚扶助
a.前方推進の脚扶助 腹帯直後(腹帯の後ろと長靴の前の部分が一致)
b.側方推進の脚扶助 腹帯から約1~2拳後
c.制限の脚扶助 腹帯から約2拳後
3. 手綱扶助
a.譲る手綱扶助 前へ進む時や馬がハミを譲った時など
b.控える手綱扶助 移行、停止、後退、半減脚時など
c.持続の手綱扶助 馬がハミに対し譲りを得させる時など
d.制限の手綱扶助 外側の肩の屈折や逃避を防ぐ(主に外方手綱)
e.開く手綱扶助 若馬や回転の悪い馬などに用いる
f.押す手綱扶助 若馬の肩の逃避を防ぐ
*e・fは特別な扶助であり、基本扶助はa~dです。
4.副扶助
鞭や拍車など
*ハミを正しく受け入れている馬は、顎が柔かく、頸を楽にし、騎手に対して運動中も停止中も騎手の手脚の中にあり、確実にハミを受け、コンタクトを得ているものです。